スイミングはアトピーにどう影響する? その効果と留意点

「子供にアトピーがあるけど、スイミングに通わせても大丈夫?」

アトピーがあると、スイミングで症状が悪化しないか心配ですよね。

スイミングは免疫力の向上も期待できるスポーツ。アトピーにも効果があると言われていますが、その一方でプールの水に含まれる塩素が肌によくないらしい……なんていうウワサ話も。

実際のところ、スイミングがアトピーに与える影響とはどのようなものなのでしょうか?

この記事では、アトピー性皮膚炎について解説するとともに、スイミングとアトピーの関係、そして泳ぐ前後のケアポイントなどについて詳しくご紹介いたします。

1.アトピーの基礎知識

アトピーの定義

アトピーとは、痒みと湿疹を繰り返す「慢性的な皮膚炎」です。

左右対称にできやすく、ジクジクした赤みのある湿疹・盛り上がりのある湿疹がみられ、掻くことによって皮膚が分厚くなり、硬くなったり瘡蓋(かさぶた)になったりしてしまうことも。

日本皮膚科学会によると、アトピー性皮膚炎は以下のように定義されています。

痒みを伴い慢性的に経過する皮膚炎(湿疹)ですが、その根本には皮膚の生理学的異常(皮膚の乾燥とバリアー機能異常)があり、そこへ様々な刺激やアレルギー反応が加わって生じると考えられています。慢性的ではありますが、適切な治療をきちんと受ければ、いずれ治ったと同様の状態になることが期待されます。

引用:皮膚科Q&A-公益社団法人日本皮膚科学会

アトピーを引き起こす要因

アトピーはもともと「体質として持っている要因」「環境的な要因」が重なって皮膚炎の症状が起こる、とされています。

そして、それらの要因は複合的に作用するため、同じ人でもそのときの体調やストレス、季節の変わり目などで、症状が悪化してしまうことがあります。

  • 体質として持っている要因
  • 環境的な要因

体質として持っている要因

  • アトピー素因
    本人または家族がもつアレルギー性鼻炎・喘息などの疾患
    アレルギーと関係が深いIgE抗体をつくりやすい体質

  • 皮膚のバリア機能の低下
    ひっかいたり、こすったりといった物理的な刺激
    外部の異物から受ける刺激

環境的な要因

  • アレルゲン
    食物・ダニ・ほこり・カビ・花粉・動物の毛など

  • アレルゲン以外の刺激
    汗・摩擦・乾燥・洗剤・化粧品など

  • ストレス
    精神的プレッシャー・過労・寝不足など

もともと人間の体には、外から入ってくるさまざまな異物を攻撃して排除したり、体内で無害化する仕組みがあり、これを「免疫」といいます。

アトピーは免疫が何らかの原因で乱れてしまい、本来なら無害であるものに反応してしまったり、過剰に働いてしまいます。

また、皮膚は表面の皮脂膜・角質細胞・角質細胞間脂質などがバリアの役割を担っており、外からの異物の侵入や水分の蒸発による乾燥を防いでいます。

しかし、バリア機能が低下することで皮膚の内部に外からの異物が入りやすくなり、その結果、炎症が引き起こされやすくなります。

『みんなの水泳手帳』MEMO

IgE抗体:即時型アレルギー反応を起こす、血液中を流れる抗体のこと

アトピーへの対処法

皮膚の炎症が続くと痒みも持続し、患部を引っ掻いてしまうため、さらに炎症が悪化してしまいます。

そうなると皮膚のバリア機能も低下してしまうため、外からの刺激をますます受けやすい状態となり、悪循環に陥ってしまいます。

このような悪循環に陥らないためにも、アトピーには子供・大人に関わらず、以下に挙げる3つの対処が重要です。

  1. 症状を引き起こす要因・悪化の要因の特定
  2. 外用薬・内服薬の正しい使用法の理解
  3. スキンケア

この他にもアトピーの改善には、生活習慣を整えたり、適度な運動を行うことが大切です。

規則正しい生活、バランスのとれた食事に気を配るとともに、運動による新陳代謝の活性化やストレスの発散も効果的です。

2.スイミングとアトピーの関係

スイミングがアトピーに良い理由

アトピーのある人にとってスイミングは、「汗」の影響を受けずに運動できるという大きなメリットがあります。

運動をすると必ず汗をかきます。この汗がアトピーを悪化させる原因になってしまうのです。

アレルゲンは水に溶ける性質があるため、陸上で運動をして汗をかくと、空気中のほこりや花粉などのアレルゲンが汗に溶け込み、体内に入り込みやすくなってしまいます。

スイミングではプールの水が常に汗を洗い流してくれるので、アレルゲンに影響されずに気持ちよく体を動かすことができるのです。

スイミングをするときの注意

スイミングはアレルゲンに影響されないその一方で、ご心配の通りプールの水に含まれる塩素が、皮膚への刺激となる可能性があることも事実です。

炎症がひどく、水に入るだけでもしみるような場合は、症状が良くなるまでスイミングを避けたほうがよいでしょう。

スイミングがアトピーにもたらす効果

アトピーの人にとってスイミングが良い理由には、以下のような理由もあります。

  • 新陳代謝の活性化
  • ストレスの軽減・解消
  • 自律神経の整調

新陳代謝の活性化

運動による血行の促進で全身の新陳代謝が活性化され、免疫力が強化されます。陸上の運動では血行の促進によって痒みが強くなることがありますが、水の中では体表面から発された熱がすぐに冷やされるため、痒みに影響を与えにくいといえます。

ストレスの軽減・解消

心身のストレスはアトピー悪化の要因となります。常に痒みに悩まされていると、どうしても気分が塞ぎがち。適度な運動はストレス発散につながります。スイミングであれば痒みを忘れて気持ちよく体を動かすことができるので、リフレッシュすることができます。

自律神経の整調

自律神経が乱れると、体内の免疫システムにも影響をあたえてしまい、アトピーの誘発や悪化を招いてしまいます。乱れた自律神経を整えるには、水泳のような有酸素運動が有効です。

3.スイミング前後にケアすべき5つのポイント

5つのポイント

アトピーの症状は人それぞれ。また、季節やその日のコンディションによっても症状が悪化したり良くなったりします。

湿疹がひどい状態で無理をしてプールに入ると、症状が悪化してしまう可能性も。症状がひどいときには主治医に相談し、適切な治療やスキンケアを行うことが重要です。

ここでは、アトピーをもつ人がスイミング前後にケアすべき「5つのポイント」について、詳しく解説していきます。

  1. プールに入る前に
  2. プールの中では
  3. プールから上がったあと~シャワー
  4. プールから上がったあと~拭き取り
  5. プールから上がったあと~スキンケア
  1. プールに入る前に

    湿疹が気になるところには、保湿剤を塗っておきましょう。保湿剤を塗っておくと、撥水効果と皮脂膜の保護の効果があります。

  2. プールの中では

    できるだけ肌をこすらないように、気をつけましょう。水に入ると皮膚がふやけてダメージを受けやすい状態になります。顔にかかった水を拭おうとしてこすり過ぎると、皮膚が傷つき乾燥がひどくなったり、炎症が悪化する恐れがあります。

  3. プールから上がったあと~シャワー

    できるだけ早くしっかり浴びて、体についた塩素を落としましょう。このとき、石鹸やボディソープを使う必要はありません。ふやけてバリア機能が低下している肌には、石鹸なども刺激になる可能性があります。シャワーを十分に浴びて、水着もしっかりと流します。

  4. プールから上がったあと~拭き取り

    できるだけ早くやさしく、水分を拭き取りましょう。このとき、ゴシゴシとこすってしまうと、ふやけた皮膚にダメージを与えてしまいます。こすらないように気をつけて。

  5. プールから上がったあと~スキンケア

    肌が乾ききらないうちに保湿剤を塗りましょう。一度ふやけた皮膚は急速に水分が蒸発して、乾燥してしまいます。湿疹が出ていないところもしっかりとスキンケアをすることで、皮膚のバリア機能を高め、症状の悪化を防ぐことができます。

子供への対処

小さなお子さんがスイミングスクールに通う際は、事前にコーチに伝えてシャワーをしっかり浴びさせてもらったり、着替えを手伝って保湿剤を塗ったりしてあげてください。

泳力レベルにもよりますが、練習中は顔に水がかかるたびに手でこすってしまうこともあります。

水慣れが十分になってきたり、ゴーグルをつけたりするようになると、自然と顔をこすらなくなります。あまり神経質にならず、子供が楽しめる雰囲気作りをしてあげましょう。

最近ではプールの水質の改善が進み、塩素の刺激をできるだけ軽減するような薬剤や、ろ過装置などを導入し、アトピー肌にもやさしいプールをうたっているスイミングスクールもあります。

これからスイミングを始めたいとお考えの方は、プールの水質についても確認してみてくださいね。

WARNING
屋外プールは塩素に加え、直射日光や紫外線の刺激も受けます。直射日光に当たると皮膚は乾燥し、バリア機能が弱まってしまいます。紫外線を浴びると体内に活性酸素を生み、症状を悪化させる原因になります。ウォータープルーフタイプの日焼け止めを塗って対策しましょう。

4.まとめ

今回の記事では、アトピー性皮膚炎について解説するとともに、アトピーとスイミングの関係、そして泳ぐ前後のケアポイントなどについて詳しくご紹介してまいりました。

アトピーがあっても、スイミングスクールに通うことはできます。

大事なことは、泳いだあとにしっかりと塩素を洗い流し、スキンケアをすること。アトピーの改善には、運動することで新陳代謝をアップさせ、自律神経や免疫力を整えることが有効です。

筆者自身、幼少期からアトピーとつきあいながら水泳を続けてきたのですが、水に入るとヒンヤリして気持ちよく、プールに入っている間は痒みを気にせず泳ぐことができたように思います。

水の中を気持ちよく泳いで、アトピーともうまくつきあっていけるといいですね!