生理中にスイミングスクールで泳ぐことはできる?

水泳をしたことのある女性なら、誰でも一度は直面する「生理」の問題。

生理は自分の意志でコントロールできるものではないので、学校の水泳の授業を見学したり、スイミングの練習を休んだりした経験、皆さんにもありますよね?

生理中の体調や生理痛の重さには個人差があるため、ひとくくりにはできませんが、医学的には「生理中に水泳をすることに問題はない」とされています。

しかし、実際に生理中に泳ぐとなると、いろいろな「疑問点」も浮かんできます。

この記事では、水泳をしている女性が避けては通れない生理の疑問について、医学的な見解を交えながら、その具体的な対処方法などを詳しくご紹介していきます。

1.生理中に運動することは問題ない?

専門家による医学的見解

生理中にスポーツを行うことについて、1898年には「日本産科婦人科学会」によって、また2010年には「日本臨床スポーツ医学会」によって、次のように指針が示されています。

基本的には、本人の自由意志が大切であり、特に禁止する必要はないと考えられる。本人の自由意志で行われる場合には問題は少ないが、画一的に強制して行わせることには問題がある。また逆に、自由意志を尊重し過ぎて、ただ月経期間中であるという理由のみで絶対行わないということにも問題があり、健康管理の面(月経痛対策など)からも、ある程度のスポーツ活動は月経期間中であっても、むしろ行うことが望ましいと思われる。

引用:小児・思春期問題委員会報告(月経期間中のスポーツ活動に関する指針)-公益財団法人日本産科婦人科学会


月経中のスポーツを一律に禁止する必要はなく、個人の月経時の体調などによって判断すべきである。

引用:「月経期間中のスポーツ活動に関する指針」の検討-一般社団法人日本臨床スポーツ医学会

なかでも水泳については、
水中での経血の流出は起こりにくい
プールの水による子宮への感染リスクは問題にならない
プールに入る前後は陸上での血液流出への配慮が重要である
とも示されています。

不快な症状とその対処法

医学的見解が示すように、生理中に水泳をすることに問題はありません。

ただし、生理中は頭痛や腹痛、貧血症状など、不快な症状が出やすいもの。個人差も大きく、そのつらさは自分だけにしかわからないものです。

ここで、生理と関連が高い3つの症状について理解しておきましょう。

  1. 生理痛
  2. 冷え
  3. 貧血
  1. 生理痛
    月に一度のサイクルで子宮内膜がはがれ落ち、血液を排出するために子宮が収縮します。
    このことが痛みを生じ、下腹部痛、腰痛、頭痛などの症状が見られます。
    適度な運動によって軽減するとされていますが、痛みがひどいときは安静にしましょう。

  2. 冷え
    特に生理中の冷えは生理痛の悪化につながります。
    ある程度の強度で運動を行うと体内で熱が生産されます。
    よって、強度が保てる運動であれば水中でも体温は下がりません。

  3. 貧血
    貧血とは、血液中の赤血球やヘモグロビンが減少した状態のことです。
    赤血球は全身に酸素を運ぶ役割を担っているため、体が酸素不足の状態になります。
    生理中は出血によって貧血になりやすくなりますので、注意が必要です。

生理3日目を過ぎ経血量・痛みが軽減していれば、無理のない運動はむしろ良いと言えますので、体調と相談しながら水泳をしてください。

プール環境による冷えの影響

文部科学省による水泳指導の手引によると、屋外プールにおける水温は22℃~23℃以上が望ましいとされています。

また、日本プールアメニティ協会によると、温水プールの設定温度は29~31℃、室温については、水温+2℃くらいが適温とされています。

低学年や初心者ほど水温に敏感で、一般的に 22℃未満ではあまり学習効果は期待できません。
そのため、水温は 23℃以上であることが望ましく、上級者や高学年であっても 22℃以上の水温が適当といえます。   
水温と気温の差は、水温が若干低くても気温が高ければ不快感は少ないし、反対に水温が高くても気温が低ければ快適ではありません。
以上のことから、ここに示した水温はあくまで目安であり、プールを使用するかどうかについては、対象者の学年、能力、水温、気温、学習内容などを考慮して判断することが大切です。

引用:学校体育実技指導資料第4集「水泳指導の手引(三訂版)」第4章-文部科学省


プールの水温は22℃以上が目安ですが、遊泳に適する水温は26℃~31℃です。気温は水温より高めで風がないことが理想的です。室内プールでは29~31℃が適温です。競技などの場合は、競技の規則に従ってください。

引用:プールFAQ「水質管理編」-公益財団法人日本プールアメニティ協会

これらのことから、スイミングスクールなど室内の温度コントロールが可能なプールで泳ぐ場合は、冷えを心配する必要はないと言えます。

ただし、気温や水温が低い時期の屋外プールでは、水に入ることで体が冷えてしまう可能性があります。

屋外で行われる水泳の授業や部活の練習などでは、そのときの気候や生理中の体調を考慮して、水に入らない選択をとったほうがよい場合もありそうですね。

貧血時の水泳トレーニング

生理中に水泳をすることで「貧血が悪化する」ということはありませんが、普段通りの力を発揮できない可能性があります。

ふらつきなどの症状がみられる場合は、無理をせず練習を休んで、食事や生活習慣にも気を配りましょう。症状が続くようであれば、一度病院で診てもらうことも必要です。

また、元水泳選手でスポーツドクターの産婦人科医、江夏亜希子先生は、月経に悩む女子選手のサポートについて、次のように述べていらっしゃいます。

月経痛が強かったり、経血量が多く血が流れ出てしまうことへの不安があったりして、本人が「月経中はプールに入らない」という選択をすることは当然の権利です。しかし、反対に「月経中だって泳ぎたい」という権利も尊重する必要があります。だいたい、生理のたびに休まねばならないなら、月のうちの1/4程度は泳げないことになるのです。自分の意思で体調や経血量を考えてどうするか決めることが重要で、その決定をサポートする、その決定を阻害するような偏見をなくすよう周囲にも伝える、それこそが本来あるべき「性の健康教育としての性教育」ではないでしょうか。

引用:「月経中に泳ぎたい女性にも、泳ぎたくない女性にも。元水泳選手でスポーツドクターの産婦人科医が伝えたいこと」-wezzy

プールで泳ぐこと自体は、生理中であっても健康には影響はありません。

もちろん体調が悪いときは無理をせず、自分の体と相談しながら、生理とうまく付き合っていくという姿勢が大切ですね。

2.生理中に泳ぐときの対処法

生理中に泳ぐときに心配なのが、経血が流れ出てしまうこと。でも、安心してください。水の中では水圧がかかるため、経血は体の外へ出にくいのです。

ただ、ネックとなるのがプールに入る前と上がった後。特に、プールから上がった直後は水圧から解放され、体内に溜まっていた経血が流れ出てしまうことがあるので素早い対処が必要です。

それでは、経血量が多い日に泳ぐ場合の具体的な対処方法を見ていきましょう。

小・中学生の場合

初潮を迎えてまだ間もない年齢では、生理周期が安定していないため、どうしても必要な場合を除いてタンポンなどは使用しないほうが望ましい、とされています。

したがって、その場合の対処方法は以下を参考にしてください。

  • 準備体操は水着にナプキンを付けて行い、プールに入る直前にトイレに行っておく
  • 飛込練習やプールから上がる順番は一番最後にする
  • プールから上がった後は素早くシャワーを浴びて着替える
  • 経血がもれてしまっても目立ちにくいように、濃い色(赤や紺など)のタオルを使用する

小中学生など、まだ生理に慣れていない子供の場合は、コーチの理解のある対応も不可欠です
「男のコーチだからいいにくい」
「周りに生理中だと気づかれたくない」
という不安な気持ちをできるだけ払拭して、ストレスなく練習に参加できる環境をつくってあげたいですね。

大人やアスリートの場合

大人の女性や毎日のように泳いでいる女子選手の場合、生理1・2日目など経血量の多い時期は、以下の「生理用品」を使用することで、経血が流れ出す心配をせずに泳ぐことが可能です。

  • タンポン
  • 経血カップ

生理周期が毎月あることを考えると、大事な試合と重なってしまうことも避けられません。試合では招集からスタートまでのアイドリングタイムができ、トイレに行くこともできません。

このようなシーンでは、タンポンなどを使うことで、生理を気にせずレースに集中できます。

3.タンポンや月経カップの利便性

タンポンや月経カップといった生理用品を使うことで、安心して泳ぐことができることがわかりました。ここでは、タンポンと月経カップそれぞれの利点や特徴、そして、その使い方の注意点を紹介していきます。

タンポン3つの利点と使用上の注意点

タンポンは初潮を迎えたときから使えますが、月経が順調に来るようになってからが使用の目安です。子供が初めて使うときには、使い方や注意点を指導してあげましょう。

タンポンを使用する利点は以下の3つです。

  1. 経血がもれない
  2. 違和感がない
  3. コンパクト
  1. 経血がモレない
    体内(膣内)で経血を吸収してくれるので、体の外にもれ出ません。
    経血量にもよりますが、最長で8時間の使用が可能です。

  2. 違和感がない
    タンポンを正しい位置(無感覚ゾーン)に挿入すれば、痛みや違和感がありません。
    快適に活動できます。

  3. コンパクト
    小さいので持ち運びがしやすく、かさばりません。
    フィンガータイプとアプリケータータイプの2種類があります。
使用上の注意点

  • 手指を清潔にして使用する
  • 再使用しない
  • 8時間を超えて使用しない
  • 連続使用せずナプキンと交互に使用する

誤った使用によっては、TTS(トキシックショック症候群)という疾患にかかる恐れがあります。必ず使用方法を守り、感染症などに注意することが必要です。

TSSとは、黄色ブドウ球菌の産生する毒素が原因で起こる急性疾患のことです。TSSの初期症状としては、突然の高熱を伴って発疹・発赤、倦怠感、嘔吐、下痢、粘膜充血などがあります。このような症状があらわれた場合には、直ちに医療機関で治療を受けないと血圧低下などのショック症状に至ることがあります。

引用:タンポンNavi-ユニ・チャーム

月経カップ5つの特徴

月経カップは、膣内に装着して経血を受け止める生理用品です。欧米ではかなりメジャーで、日本でも最近になって販売されるようになりました。

月経カップには以下のような5つの特徴があります。

  • 最大12時間の使用が可能
  • 体内で経血を溜めるのでニオイがない
  • タンポンのようにヒモが体の外に出ない
  • 洗って繰り返し使える
  • シリコン製なので雑菌が繁殖しにくい

水泳中に使用すれば、タンポンのように体の外に出たヒモが気になったり、水にぬれたヒモが不快だったりしないので、より快適に泳ぐことができますね。

出典:SckoonCup

慣れないうちは扱い方が少し難しいですが、使い慣れれば生理を忘れてしまうほどの快適さ。生理中でも荷物がかさばらず、ゴミも出ないので、合宿や遠征などでも活躍すること間違いなしです。

4.まとめ

今回の記事では、水泳をしている女性が避けては通れない生理の疑問について、医学的な見解を交えながら、その具体的な対処方法などを詳しくご紹介してきました。

「水泳と生理」はスイミングスクールに通ったり水泳部に所属したりしていると、毎月向き合っていかなければならない問題です。

筆者自身、4歳から水泳を始め、高校生まで選手として泳いでいましたが、生理が試合の日と重なってしまったり、練習を休むか悩んだりしたことも多々ありました。

生理中の体調には個人差があります。大事なことは、自分の体調を把握して経血量が多いときには無理をしないこと。必要であれば生理用品を利用して、生理によるストレスを軽減すること。

生理中の自分の体調を知り、適切な対処方法をとって、ストレスなく水泳に取り組むことができればいいですね。

そして、「泳ぎたい」という意志も「泳がない」という意思も周囲がきちんと受け止めて、生理と向き合う女性が水泳に取り組みやすい環境をつくっていくことが大切です。