オリンピックまでに知っておきたい水球のルールと楽しみ方

日本では馴染みの少ない「水球」ですが、ヨーロッパではプロリーグがあるほど、海外では人気の高いスポーツの一つです。

その人気の理由は何と言っても、屈強な選手たちが敵陣のゴールの奪い合いを繰り広げるダイナミックさにあるでしょう。

「キングオブスイマー」というと、競泳400m個人メドレーの覇者に与えられる栄誉ある称号。
「キングオブスポーツ」というと、諸説ありますが……ヨーロッパでは水球のことを指します。

今回は、これほどまで海外で高い支持を得る水球の魅力を、東京オリンピックで世界の強豪を迎え撃つ「ポセイドンジャパン」へのエールも込めて、お伝えしていきたいと思います。

1.水中のハンドボール・水球とは?

水球の歴史

水球の発祥地はイギリス。英語では「Water Polo」といいます。19世紀半ば、水中フットボールとして誕生し、対峙する2チームが決められたポイントまでボールをいかに運ぶか、が競い合われました。

その後、何度もルール改正を重ね、1900年開催の第2回パリオリンピックから正式種目となりました。

競技のダイナミックさゆえ、男子のイメージが先行しますが、実は女子種目もあり、女子水球は2000年のシドニーオリンピックから正式種目として採用されています。

オリンピックの歴史としてはあまり知られる機会がありませんが、水球は「団体種目」「球技スポーツ」として初めての採用でもありました。

日本ではシドニーオリンピックを機に、大学女子水球リーグの運用が始まったことで、少しずつではありますが競技人口が増えています。

水球の概要

水球を他のスポーツで表現するならば「水中のハンドボール」が一番近いかもしれません。

ここでは男子を基本に、競技の概要を解説していきます。

コートの概要

  • コートの大きさ
    タテ 30m × ヨコ 20m
    水深 2.0m 以上
    (*プールの環境によっては狭めて行うこともあります)

  • ゴールの大きさ
    横幅 3.0m × 高さ 90㎝
    (*内寸です)

お気づきかと思いますが、タテの距離は競泳の短水路より長く、また足もつきません。プレーヤーは上記のサイズに設営されたコートの中で、パスをつなぎ敵チームのゴールを狙います。

プールサイドにはコートを挟んでレフリーが1名ずつ立ち、陸上からタテのラインを歩いてプレーのジャッジを行います。

また、レフリーとは別に、ゴールジャッジがそれぞれのゴールラインに沿って配置され、ゴールの判定を行います。最近では、水球にもビデオ判定が用いられています。

プレーヤーの人数

  • フィールドプレーヤー 6名
  • ゴールキーパー 1名
  • 上記+控え選手 6名

プレーヤーは、対戦チームごとに白色と青色の二手に分かれます。

ベンチに入れる人数は、13名(監督・コーチ除く)までと決められており、その中からゴールキーパーを含む7名が入水し交代を行いながら対戦します。

ボールは、およそ外周70㎝、重さ400g。バレーボールより一回り大きく、水にぬれると手に吸着しやすくなるゴム素材でできています。

キャップには、プレーヤーを識別する数字が入っており、プラスチック製のイヤーガードがついています。

ボール及びポジションをキープする際の接触プレーでは、相手に競り負けないパワーが必要です。

また、泳ぎながら常に戦況を把握する必要があるため、顔を水面から上げたままの姿勢でボールを追いかけることが多く、プレーヤーにはスタミナとスピードも要求されます。

これらのすべての要素をもって、身体の自由の効かない水の中で1時間近く戦うことから、水球は「世界でもっとも体力を消費するスポーツ」ともいわれることがあります。

WARNING

  • イヤーガードは、耳が切れる・鼓膜が破れる、などの危険から耳を保護する役割があります。
  • ゴーグルは、相手の身体を傷つける可能性がある、という理由から着用できません。

2.覚えておきたい!水球5つの基本ルール

さて、水球にはいくつもルールがありますが、その中でこれだけ知っていれば試合がわかる! という基本ルールを5つご紹介します。

「わかりづらい」と思われがちなポイントを補足説明した『みんなの水泳手帳』MEMOと合わせてご覧ください。

  1. 8分×4ピリオド
    1試合はクォーターで行われ、クォーター間に2分・3分・2分の休憩を挟みます。
    1試合にかかる時間の合計は、およそ1時間弱となります。

    『みんなの水泳手帳』MEMO
    ファールやゴールのジャッジからプレー再開までの間、タイマーのカウントは止まります。
    カウントされない時間も合わせて、実質1時間。サッカーのようなロスタイムはありません。
  2. ワンハンドプレー
    フィールドプレーヤーは、ボールは片手で扱うルールになっています。
    滅多にありませんが、両手でボールを扱うとファールがとられ、相手方へ攻撃権が移ります。

    『みんなの水泳手帳』MEMO
    ゴールキーパーは、両手でボールを扱うことが認められています。
    足はつかない、両手はダメ、フィールドではこのような状況の中で競技が行われます。
  3. アタックOK
    ボールをキープしている(持っている)相手には、アタックが認められています。
    ただし、打撃によるアタックや背後からのアタックには、重いファールがとられます。

    『みんなの水泳手帳』MEMO
    相手がボールをキープしていない状況でアタックを続けると、ファールが取られます。
    結果論ですが、アタックすると相手の手からボールが離れるので、ファールになります。
  4. 退水
    重いファールを取られると、フィールドの外へ20秒間「退水」していなければいけません。
    この間の攻防は6名対5名となり、両チームは大きなチャンスとピンチを迎えます。

    『みんなの水泳手帳』MEMO
    1名のプレーヤーの退水回数が累積3回に達すると「永久退水」となります。
    永久退水になったプレーヤーは、残りの試合時間、プレーできなくなります。
    永久退水になったプレーヤーと控えのプレーヤーは、交代することができます。
  5. ペナルティシュート
    「妨害がなければ点が入っていた」という場面のファールには、ペナルティが与えられます。
    ペナルティでは、ゴールから5m離れた位置でシューターとキーパーが1対1の勝負をします。

    『みんなの水泳手帳』MEMO
    点数のひっ迫した試合では、シューター対キーパーの一瞬の攻防に会場が静まります。
    ルールを逆手に取り、ペナルティを狙って取りにいくプレーヤーの動きにも注目です。

これらの他にも細かいルールが多々あるのですが、ひとまずこの5つのルールを押さえておくと、初めての観戦でも水球の試合がわかると思います。

3.水球がもっと面白くなる!見所を押さえて観戦を楽しもう

迫力あるプレーに初めての観戦でも十分楽しめますが、もっと水球を「面白い!」と感じていただくために、以下にその見所をご紹介します。

ダイナミックさと繊細さをあわせ持つシュートシーン

まずは何といってもシュートシーンでしょう。水球は足がつきません。正面からゴールを狙うときは、水を蹴って身体を腰まで浮かせた状態からシュートを放ちます。

ときには速いシュートを放つと見せかけ、フワッと浮かせた技ありのシュートが繰り出されることもあります。

その他にも、6mも離れた位置からゴールキーパーの頭上を抜いたり、ゴールを背に向けた状態から放つバックシュート、ボールを水面にたたきつけて弾ませるバウンドシュートなど、水中だからこその超絶シュートシーンに誰もが魅せられます!

水中のボールゲームを可能にするスピードとテクニック

1ピリオド8分の中で、攻撃に与えられる時間には制限があります。1回の攻撃に与えられる時間はわずか30秒。

50mが1本泳げる程度の時間しかありません。その時間を使って、30m先のゴールに攻め込みます。なかでも攻守交替から生まれる「速攻」は、会場が盛り上がるシーンの一つです。

スピーディーな試合展開には、正確で素早いボールさばきとボディコントロールが欠かせません。水球は意外にも、けっこうな速さでボールを扱います。

退水時のセットプレーで見る速いパス回しや、ボールを片手で扱いながら攻める個人技などは、まるでマジックを見ているようです。

水球では、レフリーの笛が頻繁に鳴り響きます。前述の通り、ボールをキープしているプレーヤーにはアタックが許されているため、その結果ファールが起こり、頻繁に笛が鳴らされるという特性があります。

会場に向かう道すがら、笛の音を耳にして心躍れば「通」といえるでしょう。

4.まとめ

水球とは、「とにかく泳ぐ、ボールを運ぶ、パスをまわす、シュートを決める、それを阻む」を、切ることなく続けるスポーツです。

そして、その楽しみ方は2種類。プレーして楽しむか、または観て楽しみます。「水中の格闘技」と形容されることもありますが、格闘要素は反則です。

プレーするとなると鍛錬が必要ですが、観戦であれば会場に行けば楽しめますよね。

ゲームの中で繰り出される華麗なパスワークや豪快なシュート、オフェンスとディフェンスの戦法や駆け引きなど、見所は満載です。オリンピック種目であり、プロリーグが盛んなことも納得です。

日本で水球がメジャースポーツの仲間入りを果たすには、まだまだ多くの課題を乗り越えていかなければならないようです。

ポセイドンジャパンの東京オリンピックでの活躍を期待して、皆で声援を送りましょう!


~編集長からヒトコト~

YUICHIRO.U
YUICHIRO’S EYE
水球はポジションごとに個性が活かせる競技です。「速く泳ぐこと」の他にも活躍できるチャンスがありますよ。ジュニアから始められる環境があれば、水泳と球技の一挙両得です!

ABOUTこの記事をかいた人

MARI.Y

現役時代には世界の壁の厚さを痛感させられました。とにかくその魅力を伝えたい! 水球女子ライターです。