本番までに必ず取り組みたい! 競泳と異なるOWSの練習方法

「OWSの大会に申し込んでみたけど、今の泳力で大丈夫かな……」

初めてOWSに出場する人の中には、このように不安を感じている参加者もいらっしゃるのではないでしょうか?

認知度の向上によって「一度は体験してみたい」と挑戦するスイマーが増えてきたOWSですが、事前準備が不足していると、ケガや思わぬ事故につながります。 

この記事では、初めてOWSに挑戦する人へ、本番までに必ず取り組んでおきたい、競泳とは異なるOWSの練習方法について解説していきます。

1.ここが違うOWS泳法の基本と応用

OWSは、海・川・湖などの大自然をコースにして泳ぐため、整備されたスイミングプールで泳ぐマスターズ水泳とは、勝手が大きく異なります。

効率から考えると、スタンダードな泳法はやはりクロールになります。この章では、OWSのレースを想定し、クロールをベースとしたOWS泳法の基本と応用を解説していきます。

  • 【基本】ヘッドアップスイム
  • 【応用】両側呼吸
  • 【応用】背泳ぎ

【基本】ヘッドアップスイム

ヘッドアップスイムは、OWSの基本です。

ふだん泳いでいるプールでの練習シーンを思い浮かべてみてください。すれ違いざまに波の影響を受けることがあると思います。

とはいうものの、身体ごと隣のレーンに流されてしまうような大波を受けたことがある人はいないのではないでしょうか?

これが海などの大自然では、プールではありえない波を体験することになります。頭上から身体ごと飲み込まれるような波も多く、身体をコントロールすること自体が難しくなります。

そこまで大きな波がなかったとしても、海や川には絶えず流れがあります。まっすぐに泳いでいたつもりが「気がついたらコースアウトしていた」というのは、初心者によくあるお話。

そのため、OWSでは競泳のように常に頭をつけて泳ぐのではなく、ストローク中に同じようなリズムでヘッドアップを入れ、前方を確認しながら進む泳法を習得する必要があります。 

【応用】両側呼吸

呼吸はヘッドアップをした際に正面を向いてしたくなりますが、真正面の呼吸は上下の浮き沈みが大きくなるため、体力を余計に消耗してしまいます。

そのため、呼吸は左右の両側を使ってできるようにしておきます。その際に、頭はできるだけ水面から離さないないようにし、波の様子を確認しつつ水を飲むことがないように息を吸います。

苦しい局面で不意に水を飲んで息が吸えないと、パニックになってしまうことがあります。そのような場面では、泳ぐ姿勢をいったんやめて呼吸を整える、ということもテクニックの一つです。

OWSに初めて挑戦する人は呼吸法を軽視されることが多いのですが、波や人を避けながらの呼吸は想像より難しいため、両側呼吸はあらかじめ習得しておきたいテクニックです。

【応用】背泳ぎ 

背泳ぎは、呼吸のテクニックの一つとしても応用ができます。また、給水や体勢の立て直しや休憩を目的としても使われることがあります。

完璧なフォームを目指す必要はなく、仰向けの姿勢でストロークを行うことができれば問題ありません。

その一方で、「前方の確認ができない」「頭上から覆いかぶさる波を顔面で受けてしまう」「目が直射日光を浴びる」など致命的なリスクを負うため、長時間は行えません。

したがって、クロールとスムーズに泳ぎを切り替えられると安心です。そのために、ヘッドアップスイムをしながらの背泳ぎへの切り返しとその逆の動きを練習しておくとよいでしょう。

「そもそもOWSってなに?」という方は、こちらの記事を参考にしてくださいね。

自然の中でスイミング! OWSに参加してみよう

2019年6月4日

2.プールでもできるOWSの練習方法

大自然の中で長距離を泳ぎ切るためには、そのための泳法の習得と泳力が欠かせません。この章では、プールでもできるOWSの練習方法について解説していきます。

  • OWS泳法の練習方法
  • 長距離スイムの練習方法
  • スピード変化の練習方法

OWS泳法の練習方法

OWS泳法の練習方法のポイントは、「前方の確認」と「安全の確保」です。まずはクロールのストローク中に、同じリズムでヘッドアップを入れる練習をするとよいでしょう。

最初は、顔を上げるとそのぶん脚が沈んでしまい、バランスを保つことが難しく感じると思いますが、慣れてしまえばたいへんなことではなくなります。

それでも、どうしてもヘッドアップができないという人は、クロールの3~4ストロークに1回の割合で平泳ぎを入れるようにします。

こうすることで前方確認ができ、ヘッドアップスイムができなくても安全が確保できるようになります。

『みんなの水泳手帳』MEMO

  • ヘッドアップの高さは鼻を出す程度でよい
  • 平泳ぎのキックをドルフィンキックにすると水中の抵抗を減らすことができなおよい

長距離スイムの練習方法

OWSは、キロメートル単位で泳ぐ競技です。長距離を泳ぎ切るスキルは必須と言えます。

最初はゆっくり10分間、止まることなく泳ぎ続けることを目指してみてください。まずは長く泳ぎ続けることに慣れていきます。

10分間泳を楽に泳げるようになってきたら、本番の距離を何分で泳げるか、一度測ってみるとよいでしょう。

慣れないうちは、長い距離を泳ぐことをつらいと感じるかもしれません。したがって、この段階ではゆっくりでかまいません。止まらずに泳ぐトレーニングです。

『みんなの水泳手帳』MEMO

  • 泳ぎ続けることにこだわる
  • スピードは度外視してよい

スピード変化の練習方法

距離に慣れてきたら、次はスピードを変化させる練習です。

50m×100本
100m×100本

などのように距離と本数を決め、その中で意思をもってスピードをコントロールしていきます。

本数はできるだけ多めに設定し「ゆっくり泳ぐ」「一定のスピードを維持する」「全力で泳ぐ」を繰り返し行います。

長距離レースの中でスピードを上げるシーンは、中盤で競ったときやラストスパートのイメージです。

この練習では、1回で泳ぐ距離を短く設定してかまいませんので、数多くの本数のスピードを自在にコントロールすることを意識して行います。

『みんなの水泳手帳』MEMO

  • コースロープを外しての外周泳は効果的
  • 給水を想定した背泳ぎなども行っておく

「レースをプールで体験したい!」という方は、こちらの記事を参考にしてくださいね。

東京サマーランドOWS大会に出て、夏を締めくくろう!

2019年8月2日

3.海でしておくべきOWSの練習方法

プールで練習を積んだら、次はいよいよ海での練習です。この章では、「海で泳ぐ感覚をつかむ」ことを目的に、以下の3つのステップに沿って解説していきます。

  1. 平行して泳いでみる
  2. まっすぐ泳いでみる
  3. 呼吸法を試してみる

 STEP1.平行して泳いでみる

海の練習を始める際は、いきなり沖へ向かって泳いではいけません。最初の練習では、海底に足が届く程度の深さの場所で、陸地に平行して泳ぐことから始めます。

泳ぎ始めたら浅瀬で水温や波の大きさを確かめましょう。初めての人は、感覚がプールとまったく違うことに気がつくと思います。

多人数で練習を行える場合は、同じスタート位置から一斉に泳ぎ始める練習もしてみてください。隣合って泳ぐ感覚がわかると思います。

最初は衝突したり、ペースが思うようにコントロールできない難しさを感じると思いますが、徐々に波にも慣れ、泳ぎながら周囲を見渡す余裕が出てくると思います。

 STEP2.まっすぐ泳いでみる

陸地に並行して泳いでみて余裕を感じるようになってきたら、沖にある目標物に向かってまっすぐ泳ぐ練習をしてみましょう。

泳ぎ方を変えたり呼吸の向きを変えたり、さまざまな泳法を試しながら目標物を目指します。本番のレースでは、ブイを目指して泳ぐことや、ブイに沿って周回することが多くなります。

この段階でも、最初はまっすぐ泳ぐこと自体に難しさを感じると思いますが、目標物が見えていると大きくコースアウトすることがなくなります。

ブイを用意することが難しい場合は、ボールを浮かべて取って戻ってくる練習で代用します。

STEP3.呼吸法を試してみる

目標物に向かって泳ぐところまでレベルアップしたら、両側呼吸・背泳ぎ・顔を真上に上げて呼吸するなど、様々な呼吸法を試してみましょう。呼吸法それぞれの特徴がわかりますよ。

なかでも両側呼吸は重要です。レース中、呼吸の拍子に水を飲んでしまった際に、反対側で呼吸し直すシーンが多々あります。

一方向で呼吸する癖がついていると難しく感じるかもしれませんが、「慣れ」は本番で役立つ立派なテクニックです。

そういった意味においても、両側呼吸は本番までに必ず取り組んでおきたい練習の一つと言えます。

以下に、海で練習を行う際のルールを示します。海には予測できない危険が多くあります。練習に出かける際は、最低限これらを守った上で行うようにしてください。

WARNING

  • 緊急浮力体を必ず装着する
  • 救助を想定し複数人で行う
  • 明るいうちに練習を終える

4.まとめ

今回の記事では、初めてOWSに挑戦する人のために、本番までに必ず取り組みたい、競泳とは異なる練習方法について解説いたしました。

競技人口が増えるという喜ばしい状況の傍ら(かたわら)で、事故が起こる可能性が0になることは残念ながらありません。 

だからこそ、危険があることを認知した上できちんと対策をする姿勢が求められます。それができれば、言葉では言い表すことができない大自然のスイミングの魅力に出会えますよ。

来年は、東京オリンピックでの『マラソンスイミング』の応援も楽しみですね!

これから初めて本番を迎える人は、それまでにあらためてOWSの練習に取り組んで、素敵なOWSライフをエンジョイしてくださいね。


~監修者からヒトコト~

YASUHIDE.N
YASUHIDE’S EYE(一般社団法人NOWS理事長)
大会前のクリニックでは、OWS独自の技術が身につけられますよ。安全かつ効率の良い水泳技術を習得し、ぜひ大自然の中での水泳を存分に楽しんでください。