生理中にスイミングスクールで泳ぐことはできる?

水泳をしたことのある女性なら、誰でも一度は直面する「生理」の問題。生理は自分の意志でコントロールできるものではないので、学校の水泳の授業を見学したり、スイミングの練習を休んだりした経験、皆さんにもありますよね?

生理中の体調や生理痛の重さには個人差があるため、ひとくくりにはできませんが、医学的には「生理中に水泳をすることに問題はない」とされています。しかし、実際に生理中に泳ぐとなると、

  • どのような対処方法があるのか?
  • どんなことに気をつけるべきか?
  • 体への影響はないのか?

など、いろいろな疑問点も浮かんできますね。

筆者自身、4歳から水泳を始め、高校生まで選手として泳いでいたのですが、生理が大会の日と重なってしまったり、練習を休むか悩んだりしたことも多々ありました。私のまわりでは、タンポンを使う、そのまま泳ぐ、見学する、と人それぞれでした。生理中の体調には個人差があります。生理中の自分の体調を知り、適切な対処方法を知ることで、ストレスなく水泳に取り組むことができればいいですよね。

水泳をしている女性が避けては通れない「生理」。医学的な見解や具体的な対処方法などを、詳しくご紹介していきます。

1.生理中に運動することは問題ない?

生理中にスポーツ、とくに水泳をすることについては、1989年には日本産科婦人科学会による「月経期間中のスポーツ活動に関する指針」で、

基本的には、本人の自由意志が大切であり、特に禁止する必要はないと考えられる。本人の自由意志で行われる場合には問題は少ないが、画一的に強制して行わせることには問題がある。また逆に、自由意志を尊重し過ぎて、ただ月経期間中であるという理由のみで絶対行わないということにも問題があり、健康管理の面(月経痛対策など)からも、ある程度のスポーツ活動は月経期間中であっても、むしろ行うことが望ましいと思われる。

引用:公益財団法人日本産科婦人科学会PDF

と述べられています。

また、2010年には日本臨床スポーツ医学会婦人科部会が発表した「月経中のスポーツ活動に関する指針」の中でも、「月経中のスポーツを一律に禁止する必要はなく、個人の月経時の体調などによって判断すべきである」と記載されています。

とくに水泳については、水中での経血の流出は起こりにくいこと、プールの水による子宮への感染リスクは問題にならないこと、プールに入る前後、陸上での血液流出への配慮が重要であるとも示されています。

ただし、生理中は頭痛や腹痛、貧血症状など、不快な症状も出やすいもの。個人差も大きく、そのつらさは自分だけにしかわからないものです。

生理痛
月に一度のサイクルで子宮内膜がはがれ落ち、血液を排出するために子宮が収縮する痛みが生理痛です。下腹部痛、腰痛、頭痛などが見られる人も。生理痛は適度な運動によって軽減するとされています。痛みがひどいときには安静にしておくべきですが、生理3日目を過ぎて経血量や痛みも軽減しているのであれば、無理のない範囲で運動することはむしろよいことといえるでしょう。
冷え
とくに生理中は冷えが生理痛の悪化にもつながるので、生理中にプールに入ることで冷えてしまわないか心配ですよね。しかし、ある程度、強度のある運動を行っていれば、体内で熱が生産されるため、水の中でも体温は下がりません。
文部科学省による水泳指導の手引によると、屋外のプールにおいては、低学年や初心者では水温は23℃以上、高学年や上級者でも22℃以上が望ましいとされています。

また、日本プールアメニティ協会によると、温水プールの設定温度は29~31℃。室温についても、水温+2℃くらいが適温とされています。これらのことから、スイミングスクールなど室内の温度コントロールが可能なプールで泳ぐ場合は、冷えを心配する必要はないといえます。

ただし、気温や水温が低い時期の屋外プールでは、水に入ることで体が冷えてしまう可能性も。屋外で行われる水泳の授業や部活の練習などは、そのときの気候や生理中の体調を考慮して入らない選択をしたほうがいい場合もありそうですね。

貧血
生理の出血により、生理中は貧血になりやすくなります。貧血は血液中の赤血球やヘモグロビンが減少した状態のことをいいます。赤血球は、全身に酸素を運ぶ役割を担っているので、貧血は体が酸素不足の状態です。ふらつきや体が思うように動かないなどの症状は本当につらいですよね。
生理中に水泳をすることで、貧血が悪化するということはありませんが、普段どおりの力を発揮できない可能性があります。ふらつきなどの症状がみられる場合は、無理をせず練習を休み、普段の食事や生活習慣にも気を配りましょう。症状が続くようであれば、一度病院で診てもらうことも必要です。

産婦人科医で日本スポーツ協会公認ドクターでもある江夏亜希子先生のコラムの中でも、

月経痛が強かったり、経血量が多く血が流れ出てしまうことへの不安があったりして、本人が「月経中はプールに入らない」という選択をすることは当然の権利です。しかし、反対に「月経中だって泳ぎたい」という権利も尊重する必要があります。だいたい、生理のたびに休まねばならないなら、月のうちの1/4程度は泳げないことになるのです。自分の意思で体調や経血量を考えてどうするか決めることが重要で、その決定をサポートする、その決定を阻害するような偏見をなくすよう周囲にも伝える、それこそが本来あるべき「性の健康教育としての性教育」ではないでしょうか。

と書いておられます。

プールで泳ぐこと自体は、生理中であっても健康には影響はありません。もちろん体調が悪いときは無理をせず、自分の体調と相談しながら、生理とうまく付き合っていくという姿勢が大切ですね。

2.生理中にプールに入っても大丈夫?

生理中に泳ぐときに心配なのが、経血が流れ出てしまうこと。でも、安心してください。水の中では水圧がかかるため、経血は体の外へ出にくいのです。

ただ、ネックとなるのが、プールに入る前と上がったあと。とくにプールから上がったときに、体内にたまっていた経血が流れ出てしまうので、すばやい対処が必要です。

経血量が多い日に泳ぐ場合の対処方法をご紹介していきましょう。

小・中学生の場合

初潮を迎えてまだ間もない年齢では、生理周期も安定していないため、どうしても必要な場合をのぞいてタンポンなどは使用しない方が望ましいとされています。
その場合の対処方法は、

  • 準備体操は水着にナプキンをつけておこない、プールに入る直前にトイレにいく
  • 飛び込み練習やプールから上がる順番はいちばん最後にする
  • プールから上がったあとは、すばやくシャワーを浴びて着替える
  • 経血がもれてしまっても目立ちにくいように、濃い色(赤や紺など)のタオルを使用する

などです。

小中学生など、まだ生理に慣れていない子供の場合は、コーチの理解のある対応も不可欠です。「男のコーチだからいいにくい」
「周りに生理中だと気づかれたくない」
という不安な気持ちをできるだけ払拭して、ストレスなく練習に参加できる環境をつくってあげたいですね。

大人や選手の場合

大人の女性や毎日のように泳いでいる女子選手の場合、生理1・2日目など経血量の多い時期は、

  • タンポン
  • 経血カップ

などを使うことで、経血が流れ出す心配をせずに泳ぐことが可能です。

生理が大切な大会の日程と重なってしまうことも、毎月ある生理周期を考えると避けられないこと。大会ではレースの招集から入水までの時間が長く、トイレに行くこともできません。タンポンなどを使うことで、生理を気にせずレースに集中できます。

3.タンポンや月経カップの利便性は?

タンポンや月経カップといった生理用品を使うことで、安心して泳ぐことができます。それぞれの利点と使い方の注意点を紹介していきましょう。

タンポンの利点

  • 経血がモレない
    体内(膣内)で経血を吸収してくれるので、体の外に漏れ出ません。経血量にもよりますが、最長で8時間の使用が可能です。
  • 違和感がない
    タンポンを正しい位置(無感覚ゾーン)に挿入すれば、痛みや違和感がなく快適に活動できます。
  • コンパクト
    小さいのでかさばらず、持ち運びしやすいのもメリット。コンパクトなフィンガータイプと、初めてでも正しい位置に挿入しやすいアプリケータータイプがあります。
タンポン使用の際の注意点
手指を清潔にして使用する
再使用しない
8時間をこえて使用しない
連続使用せず、ナプキンと交互に使用する
(出典:ユニ・チャーム
タンポンは初潮を迎えたときから使えますが、月経が順調にくるようになってからが使用の目安です。子供が初めて使うときには、使い方や注意点を指導してあげましょう。

誤った使用によっては、TTS(トキシックショック症候群)という疾患にかかる恐れもあります。かならず使用方法を守り、感染症などに注意することが必要です。

月経カップの利点

月経カップは膣内に装着して、経血を受け止める生理用品です。欧米ではかなりメジャーですが、最近になって日本でも販売されるようになりました。

月経カップには、

  • 最大12時間の使用が可能
  • 体内で経血をためるので、ニオイがない
  • タンポンのようにヒモが体の外に出ないので快適
  • 洗って繰り返し使えるので経済的
  • シリコン製なので雑菌が繁殖しにくい

このような特徴があります。(出典:スクーンカップ

水泳中に使用すれば、タンポンのように体の外に出たヒモが気になったり、水にぬれたヒモが不快だったりしないので、より快適に泳ぐことができますね。

慣れないうちは扱い方が少し難しいですが、使い慣れれば生理を忘れてしまうほどの快適さ。生理中でも荷物がかさばらず、ゴミも出ないので、合宿や遠征などでも活躍すること間違いなしです。

まとめ

「水泳と生理」はスイミングスクールに通ったり、水泳部に所属したりしていると、毎月向き合っていかなければならない問題です。

特に、毎日のように練習をしている選手の場合は、生理中ずっと練習を休むわけにはいきませんね。生理中にプールに入って泳ぐこと自体は、健康に影響を与えたり、感染症にかかりやすくなったりすることはなく、むしろ適度な運動を行った方がよいと推奨されています。

大事なのは、自分の体調を把握して経血量が多いときには無理をしないこと、必要であればタンポンなどを利用して生理によるストレスを軽減すること。生理中でも泳ぎたいという意志を尊重する、また生理痛がひどいので入らないという意志も同じく尊重する。どちらの意志も、周囲がきちんと受け止めサポートし、生理と向き合う女性が水泳に取り組みやすい環境をつくっていくことが大切です。